不動産登記簿の見かた

こんにちは、くろしば司法書士事務所です。
今日は不動産登記簿の見かたについて。
正確には、「全部事項証明書」というものについてのお話です。
自分でサンプル作ろうかとも考えたのですが、
法務省のサイトに見本があったので、以下にリンク貼ります。https://www.moj.go.jp/content/001309855.pdf
これを見ながら、説明しますね。

不動産で登記されていることは、大きく2つに分けられています。
それが表題部権利部
権利部は更に甲区乙区に分かれています。

表題部というのは、この不動産がどんなものかを表す部分。
土地なら、所在や地番(どこにあるのか)・地目(どんな用途か)・地積(広さ)など。
地目は現在、23種類あって(不動産登記規則99条)、「宅地」や「田」などは普通に見ると思いますが、「運河用地」や「鉱泉地」なんてものもあります。
建物なら、所在・家屋番号・種類(どんな用途か)・構造(木造かわらぶき平家建とか)・床面積など。
建物の種類は、基本的には12種類ですが(不動産登記規則113条1項)、この区分に当てはまらない場合は、この12種類以外でもOKなようです。
少し前に話題になっていましたが、東京ディズニーランドのスプラッシュマウンテンの建物の種類は「スプラッシュマウンテン」なんだそうです。
まあ、普通見るのは「居宅」「店舗」「車庫」とかですよね。
この表題登記がないと、そのあとの「この不動産は誰々の所有です」というのが登記できないので、
表題登記が登記のスタートとなります。
このスタートとなる表題部の申請をするのは土地家屋調査士の先生のお仕事。
測量なども行って、不動産の状況を正しく登記に反映する重要なお仕事です。
表題部の登記は登記義務があって、新築建物だと所有権を取得してから1ヶ月以内に登記申請をしないと10万円以下の過料の罰則もあります。なので、忘れず申請してくださいね。

こうして表題部ができあがると、次に司法書士の仕事である権利部の登記ができるようになります。
権利部のうち、甲区はこの不動産がだれの持ち物か、ということを記載します。
いわゆる所有権ってやつですね。
ここには所有者の住所や名前、取得原因などが記載されます。

基本的に権利部の登記については長らく努力義務で、罰則はありませんでした。
というのも、例えばAさんの持っている甲土地をBさんに売ったとしますよね。
そのとき、登記をBさんの名義に変えないまま、ほったらかしていた場合、
これを「ラッキー!」と思ったAさんが何も知らないCさんにも甲土地を売って、
登記をCさんの名義に変えたとします。(二重譲渡、というものです)
それを知ったBさんが「いやいや、甲土地は私のモノですよ」といってCさんに対して裁判を起こしても、登記の名義がCさんにある以上、それは認められないのです。
(これを登記の対抗力と言って、民法177条に規定されています。)
なので、普通は売買で不動産を手に入れた場合、強制されなくても一刻も早く登記をします。二重譲渡以外にも、差し押さえが入っちゃうなんてこともあるので、司法書士が決済のあと、すぐに申請に走るのもそのためです。(お昼ごはんは申請が終わってから、が基本)
つまり、強制しなくても皆さん進んで権利の登記をしてくれるので、罰則をつける必要がなかったわけです。(登記せずにBさんのようにデメリットがあった場合は自己責任という考え方なのです)

しかーし、この対抗力には例外があって、相続の場合、法定相続分までなら登記しなくても「私のものです!」が言えちゃうんです。(民法899条の2第1項の反対解釈)
なので、相続したけど面倒だから登記しないでそのままにしてる、ということがたくさんありました。
そのせいで、災害が起こって建物が壊れたけど、登記上の持ち主はすごく昔の人で現在誰のものかわからないし撤去するのに市町村から持ち主に連絡が取れない、とか、道路を広げたくて土地の買収をしたいんだけど、登記上の持ち主は50年前に亡くなっているので交渉ができない、など、いろんな不都合が出てきました。
それを解消するために、令和6年の4月から、相続による所有権移転登記が罰則付きで義務化されたわけです。(不動産登記法76条の2)
申請期限は所有権の取得から3年以内ですが、令和6年4月1日以前の相続による所有権取得については令和9年3月31日までに申請すればOKです。ただ、時間が経てば経つほど書類揃えるのが大変になるので、申請はお早めに。お困りの場合はお近くの司法書士までご相談ください。

と、甲区の話が長くなったので、乙区については簡単に。
ここには所有権以外の権利についての記載が入ります。
と言われてもなんのこっちゃ?ですよね。
具体的には抵当権とか地上権とか賃借権とか配偶者居住権とか。
抵当権は、銀行とかでお金借りたときにつけられる、いわゆる担保に取られるってやつです。
なので、いくら借りました~とか、利息とかも記載されます。
その他は…説明が長くなるので今日は割愛(汗)。
ちなみに、見本にある共同担保目録っていうのは、乙区の抵当権について、まとめて他の物件も担保にしてますよ、というのがわかるようにしているものです。

以上、ざっくりとした説明ですが、不動産登記簿の謄本(つまり、登記事項証明書)は手数料を払えば誰でもどこの法務局でも取得することができます。
例えば、大阪の法務局で東京都庁の建物の謄本を取ることもできます。
また、今はインターネットの登記情報提供サービスもあるので、法務局まで出向かなくても登記情報を見ることができます。(手数料はかかりますが…)
もし、気になる物件があれば、取得して見てみるのも面白いですよ。
ただし、その取得にはちょっとしたコツがあります。
そのコツは…、また明日!

※参考文献
新時代の司法書士実務 坂本龍治 著

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