法定相続分は、さていくら?

こんにちは、くろしば司法書士事務所です。
今回は遺言の話の4回目。
といっても、直接関係があるか、というと微妙なんですが、前回遺留分のお話しましたよね。で、そこで「法定相続分」という言葉が出てきました。なので、今回はその法定相続分のお話。

法定相続分は、民法900条に規定があります。興味のある方は条文読んでいただくとして。
別に、この通り遺産を分けないといけないものではありません。「法定」ってついてるんで、なんかその通りにしなきゃ、と誤解されることもあるようなのですが(ウチの母がそうでした)、遺言がなくて、遺産分割協議もしない場合、こう分けますよ、っていうだけもの。なので、どう遺言を書いてもいいし(遺留分請求されるおそれはありますけどね)、遺産分割協議でご家族さん同士話し合って、「全部お母さんに相続してもらおう」でもいいんですよ(実際そこそこありますよね。このパターン)。
まあでも、ひとつの目安として法定相続分、知っておくのはいいかと思います。
ちなみに、相続人さんの中に認知症になっちゃったとかで後見人さんがついている場合、その相続人さん(被後見人といいます)の分は、最低でも法定相続分を確保しないといけないのが通常です。なので、「お母さん認知症でお金の管理できないし、相続分ゼロ円でいいよね」は通りませんのでお気をつけください。

ではここから具体的に法定相続分の計算です。
今回も計算楽なので、亡くなったAさんの遺産を6000万円としておきます。
さてケース1。Aさんに配偶者Bとお子さんC・Dがいる場合です。

この場合、法定相続分の割合は上図のとおり。配偶者Bさんが2分の1で、残り2分の1をCさんとDさんで分けることになります。なのでAさんの遺産が6000万円だと、法定相続分は、
・配偶者B:3000万円
・子C:1500万円
・子D:1500万円
となります。

さて次ケース2。Aさんに配偶者はいるけど、お子さんはいない。で、Aさんの親がまだ生きてるよ、となると、法定相続人は配偶者Bさん、Aさんの親CさんDさんとなります。

この場合、まず配偶者Bさんの法定相続分は3分の2(お子さんがいるときより多いですよね)、残り3分の1をCさんDさんで分けることになります。結果、法定相続分は、
・配偶者B:4000万円
・親C:1000万円
・親D:1000万円
となります。

次、ケース3。配偶者はいるけどお子さんはいない。親はもう亡くなってて、きょうだいがいる、のパターン。この場合、法定相続人は配偶者Bさん、きょうだいEさんFさんとなります。

さてでは法定相続分は、というと、まずBさんが4分の3となります。で、残り4分の1をEさんFさんで分けることになりますので、結果、法定相続分は
・配偶者B:4500万円
・きょうだいE:750万円
・きょうだいF:750万円
となります。おお、Bさんの相続分だいぶ増えましたね~。こんなふうに、配偶者は必ず相続人になるんですが、その他の相続人が誰になるかによって、配偶者の法定相続分はかなり変化します。

さて最後、ケース4。今後増えそうなパターンやっておきます。
Aさんに配偶者がいて、お子さんはいない。親はもう亡くなってて、きょうだいがいる、のパターン。
あれ?ケース3と同じでは?と一見思うんですが、よく見てください。HさんはDさんの子だけど、Cさんの子ではない。つまり、片方の親だけ同じきょうだい(半血のきょうだい、などといいます)にあたります。今回のケースの場合、Aさんの親Dさんに、離婚したGさんとの間の子Hさんがいる、という形。ちなみに、Gさんには相続権はありません。

さてでは具体的に見ていきます。
まず、配偶者Bさんの法定相続分4分の3はケース3と同じ。問題は、残り4分の1の分け方です。
条文には「ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1とする」とあります。つまり、どういうことかって言うと、Hさんの相続分はEさんFさんそれぞれの半分ですよ、ということ。計算方法軽く説明すると、Hさんの相続分をとすると、EさんFさんの相続分はそれぞれ、3人分合わせて=4分の1=1500万となるので、=20分の1=300万円となります。
結果、法定相続分は、
・配偶者B:4500万円
・きょうだいE:600万円
・きょうだいF:600万円
・きょうだいH:300万円
となります。「よおわからん!」とい言う場合は、、司法書士等お近くの専門家にご相談ください。

で、なんで今回ケース4のパターンを説明したかと言いますと、少ないとはいえ、Hさんにも法定相続分がある=Hさんも法定相続人だということを知っていただきたいのです。
前回お話した通り、きょうだいには遺留分がありませんから、Aさんが遺言で「全財産を配偶者Bさんに相続させる」と書いていれば、その通りに手続きできますし、Hさんを交えて話をする必要もありません。しかし、遺言がなければ、遺産分割協議するにしろ、法定相続分で相続するにしろ、Hさんに協力してもらわなければなりません。銀行の相続手続き自分でやったことある方ならわかるでしょうが、いちいちHさんに実印もらわないといけない可能性だってあります。はい、ものすごく面倒です!Hさんも正直関わりたくない、ってこともあるでしょうし。
なので、前回、遺留分の話のところで「遺言は相続人さんへの最後の心づかい」と書いたのは、このケース4のような場合に非常に大きな意味をもつわけです。

とまあ、今回長々と法定相続分について書きましたが、いかがでしたでしょうか?
またお付き合いいただけましたら幸いです。

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