自筆証書遺言保管制度

自筆証書遺言保管制度

こんにちは、くろしば司法書士事務所です。
気づけば今年も残すところあと2週間。
早いですね~。
年末年始、ご家族親戚で集まるよなんてご家庭もあるかと思うのですが、最近は「遺言どうする?」なんて話題が出ることもあるかもしれません。そんなときに知っておくと便利かもしれない「自筆証書遺言保管制度」のお話を今日は書いてみたいと思います。

自筆証書遺言保管制度の概要

まずは概要から。
以前、遺言のいろいろの回で書きましたが、普通、遺言は自筆証書遺言か公正証書遺言のどちらかなんですね。で、公正証書だと改ざんのおそれがないし、検認もいらないんですが、費用が少々お高め。なのでお手軽な自筆証書遺言にしようかと考える方は多いかと思います。
だけれど、今年ニュースになっていた和歌山の方の件のように、「この遺言、本当に本人が書いたの?」などと争いになる可能性がありますし、裁判所での検認も必要です。そういった不安を解消できるのが、法務局で行っている「自筆証書遺言保管制度」となります。
この制度のメリットは
法務局で保管してくれる
→改ざんのおそれがない、間違って捨てられることがない
検認不要
・指定者通知を希望すれば、遺言者の死後、指定した人に通知が行く
→遺言が無駄にならない、ちゃんと見つけてもらえる
・費用が安い(2024年12月17日現在、保管料3900円)
などです。
ですが、あくまで「自筆証書遺言」の保管なので、遺言自体は自分で作成する必要があります。
では次に、その遺言をどう作成するか、を見ていきます。

遺言作成の注意点

遺言書作成の注意点ですが、民法968条の自筆証書遺言の規定に沿うのはもちろん、この制度独特の注意点があります。
民法の規定は
・遺言書の全文、遺言の作成日付、遺言者氏名は自署の上、押印
・財産目録は自署でなくてもOK。その代わり、すべてのページに署名・押印
ぐらいです。
これにプラスして、この制度独特の注意点は大まかに以下の通りです。

用紙A4サイズ・文字が読みにくくなるような模様、彩色なし・一般的な罫線可
余白最低、上5ミリ・下10ミリ・左20ミリ・右5ミリ必要
記載面片面のみ
ページ番号遺言書及び財産目録に通し番号で記載・1/2、2/2など、総ページ数がわかるように
筆記具長期間の保存に耐える消えにくいもの・ボールペンや万年筆等
氏名戸籍通りの氏名を記載
その他スキャンするため、ホッチキスなどで綴じずにバラバラで持参

余白要件についてはかなり厳格で、右図に示した余白を最低限確保することが必要です。もし、1字でもはみ出したら全部書き直し!というかなりキビしいことになっています。
ただし、本文はこれで良いとして、財産目録どうするの?という疑問があると思います。PCで作成ならこの余白設定にすれば良いのですが、登記事項証明書等の場合は?となりますよね。その場合、縮小コピーするなどして、この余白内に収まるようにすればよいとのことです。
また、遺言書記載の氏名について、民法では通称や芸名など、本人特定できれば可、となっていますが、この制度では住民票などで本人特定するために、戸籍通りの氏名で記載、が要件となっています。

保管所を決めましょう

上記の注意点に従って遺言書・財産目録を作成したら、どこの保管所に保管してもらうかを決めます。
全国どこでもOK,というわけではなく、保管してもらえる法務局は、
・遺言者の住所地
・遺言者の本籍地
・遺言者の所有不動産の所在地
のいずれかを管轄する法務局、となります。
大体は、上記3箇所のいずれかの地点の都府県の保管所、となりますが、北海道だけ4つに管轄が分かれています。詳しくは遺言書保管所一覧をご参照下さい。
また、一度遺言保管をすると、閲覧・撤回・追加もその保管所でしかできません(亡くなったあとの遺言書情報証明書などの請求は全国どこでもできます)のでご注意を!
どこに保管してもらうかが決まったら、申請書を書いて、予約をします。
予約はウェブサイトからも可能ですし、電話または窓口でもOKです。法務省的にはウェブサイト推奨のようです。

いざ!申請!

さて、では予約も取れたら、いざ申請へ、法務局へ行きます。
このときの持参物は
・遺言書と財産目録
・申請書
・住民票の写し(本籍及び筆頭者の記載ありのもの)
・顔写真付き身分証明書(マイナンバーカードや運転免許証)
手数料3900円(収入印紙で!
となります。
申請書は事前にちゃんと記入して持参のこと!と法務省のサイトに注意があります。書かずに行って、時間内に手続き終わらないと、その日に受け付けてもらえないこともあるようなので、必ず書いて持っていってください。
また、収入印紙3900円なんてどこで売ってるの?と思われるでしょうが、法務局には必ず印紙販売所があるので、当日法務局で買えば大丈夫です。
以上の必要書類をチェックしてもらって受付完了すれば、保管証を受け取ってめでたく手続き終了!となります。

終わりに

以上、ざっくりと自筆証書遺言保管制度について書きましたが、「もっと詳しく知りたい!」という方は、法務省・自筆証書遺言保管制度のページをご覧ください。申請書などもここにあります。
こんな便利な制度ですが、ひとつだけ注意点があります。
というのは、保管時に形式面の最低限のチェックはしていただけるのですが、内容面についての詳しいチェックはなされません。なので、内容的に有効な遺言書であるかを法務局で確認するものではないことにご留意下さい。遺言書が書いたとおりに執行できない・モメるなんてことになったら非常にもったいないので、詳しい内容面のチェック等気になる場合は、お近くの弁護士の先生や司法書士まで是非ご相談ください。

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