検索用情報の申出の話
こんにちは、くろしば司法書士事務所です。
気づけば6月。梅雨入りまではまだ少しありそうですが、昼間はだいぶ暑い日も増えてきましたね。
さて、今日は検索用情報の申出のお話。「何じゃそりゃ?」と思われる方も多いでしょうが、これ、令和7年4月21日からスタートした新制度です。で、始まってすぐ私も、試しに自宅不動産についてやってみたので、その体験もあわせて今回、お話しますね。
検索用情報の申出とはなんぞや?
まずそもそも、「検索用情報の申出」ってナンノコッチャ?ですよね。
これ、来年、令和8年4月1日からの、住所等変更登記義務化に伴って作られた制度なんです。
特に東日本大震災以降大きな問題になった話なんですが、不動産になにかあったとき、登記簿に載ってる所有者に連絡を取ろうと思っても、連絡が取れない!ってことがあるんですよね。相続登記がされていないとか、住所や氏名が変わっているのに古いままになっているなどが大きな理由。その解消のために、昨年(令和6年4月1日)から相続登記が義務化されましたが、来年から住所や氏名が変わった場合の変更登記も、変更から2年以内に行うことが義務になります。
だけど、今まで義務じゃなかったのに面倒くさい!という声が当然出るわけで。そのために、事前に法務局にいくつかの情報を申出してもらえれば、定期的に法務局で住基ネットの情報照会をして、変更があれば法務局が変更登記しておきますよ、というもの。この、情報照会してね、って申出が、今回のテーマの「検索用情報の申出」となります。
検索用情報の申出の種類
それではこの申出なのですが、実は2パターンあります。
パターン1は、他の登記をするときに、一緒に申出してね、というもの(同時申出、といいます)。
どういう登記で必要かというと、所有権の保存や所有権の移転など、「新たに不動産の所有者となる登記をするとき」に、「国内に住所のある自然人が所有者となる場合」に申出をする必要があります。ちなみに「自然人」というのは、会社のような法人ではない、いわゆる生きてる人、ってことです。この場合は原則申出をすることが必要で、私達司法書士が電子申請に使っている法務省の申請用総合ソフトにも、ちゃんと記入欄ができてます。
それに対し、パターン2は、既に不動産を持っていて登記名義人になっている人が、この申出だけをする、というもの(単独申出、といいます)。
これ、既に住所や名前が変わっているのにまだ変更登記してないよ、って人でもできますし、これをやっておけば変更登記の義務を果たしたことになります。そしてこの単独申出は、変更登記と違って登録免許税がかからない、というメリットがあります(住所や氏名の変更登記は、不動産1個あたり1000円の登録免許税がかかります)。ただし、いつ変更が反映されるかは、未定。今のところ聞いている流れとしては、義務化になったあと、法務局側で住基ネット照会して「あ、変更してるな」ってわかったら所有者に連絡が来るので、「変更していいよ」って返事したら変更登記が入る、ということになるようです。
申出情報の中身
では、この申出情報の中身ですが、以下の通りとなってます。
・氏名
・氏名のふりがな
・住所
・生年月日
・メールアドレス
今までは申請時、氏名と住所のみで良かったんですが、住基ネットを検索するためのキーとして、ふりがなと生年月日が新たに必要になっています。で、問題がメールアドレス。これ、何のために必要かと言いますと、「変更していい?」って連絡するときのためのものなのです。しかし、我々司法書士界隈では賛否両論(私の知る限り、否の方が多い印象)ありまして。理由は、「迷惑メールと勘違いされる」「メールアドレス変更しても、法務局への連絡なんかしないよね」などで、「結局、必要なときに届かない(もしくは見過ごす)」ことになる可能性があまりにも高い、というもの。実際、メールアドレス申出すると、完了通知もメールで来るのですが、そこにメアド変更用のパスワードが載ってるらしい(らしい、というのは、私はメールアドレス提供せずに申請したから)ので、完了通知メールは保存必須なのですよ。なのに、迷惑メールと勘違いして削除しちゃった!という方が既に発生しているとのこと…。まあ、この変更用パスワードわからなくなっても変更する方法あるのですが、法務局でかなり面倒くさい手続が必要になります。
あと、このメールアドレスは、共用のものは不可。となると、共用のしかないよ、とかメアド持ってないよなどの理由でメアド提供できない方もいますよね。その場合は「メールアドレスなし」で申出することもできます。
そんなわけで、メールアドレスなしでも申出申請は通ります。法務省的には非推奨なんでしょうが。
ではメールアドレスなしの場合、「変更していい?」の連絡はどう来るのか、というと、書面(つまり郵送)で来るらしいです(らしい、というのはまだ制度が始まっていないので、わからない)。
大急ぎで導入した制度なので、法務局内でもまだ運用が決まっていないところが色々あるようです。
申出の方法と添付書類
次に申出の方法について。
同時申出なら、メインの登記の申請情報がちょっと増えるだけ。書類も、メインの登記で必要なものだけで足りますので、特に問題はありません。
というわけで、以下、単独申出について解説。
まず、方法ですが、自分でやるか、司法書士に依頼するか、ですね。
依頼する場合は司法書士におまかせ、なので、説明は割愛。
なので、自分でやる場合ですが、書面申請の場合は、法務省のウェブサイト等で書式を確認して作成→管轄法務局(所有不動産のあるところ)に提出、です。
また、ネット経由の申請もできます。「かんたん登記申請」という、法務省が提供しているWEBブラウザから申請できるシステムがあるので、それを利用して申請可。普段は私、司法書士なので、「申請用総合ソフト」というものを使っているのですが、今回お客様への説明のために、この「かんたん登記申請」から本人申請してみました。結論。簡単じゃない!大きな理由は、
・スマホではできない(←これ結構重要!!)
・登録が面倒
・設定が面倒
の3つ。それでもWEB経由で本人申請したい方は、頑張ってください…。
あと、添付書類について。
基本は免許証や、マイナンバーカードなど、写真付きの身分証明書のコピーのみでOKです。
ただし、登記上の住所や氏名が現在と違っていて、その変更日がかなり前(平成22年10月5日以前)だと、もう少し書類が必要になる場合がありますので、ご注意ください。
申請後の注意点など
申請できましたら、あとは完了を待つだけ。
メールアドレス提供の場合は上にも書いた通り、メールで完了のお知らせが来ます。
この完了通知メール、メアド変更用のパスワードが載ってますので、絶対に削除しないでください!
メアド提供しない場合、紙の完了通知書が発行されます。(右写真参照)
ふつう、登記の完了証って、薄い緑の模様の入った専用用紙に印字されるんですが、この検索用情報の申出については、安っぽいザラ紙に最低限の情報のみのもの。誰の申請かなどは載ってきません。不動産番号は載ってきますが、あっさりしたものです。
また、この完了証、法務局に取りに行くか、郵送してほしければ、申請時に返送用封筒つけて出してください。特に、かんたん登記申請を利用してのWEB申請だと、完全オンライン申請できるので、取りに行くのを忘れがち。ちなみに返送用封筒を提出しなければ、法務局が勝手に送ってくれることはありません。
保管期限がすぎると、廃棄されるのが基本運用のようです。ということで、受取はお早めに。

ちなみに、完了までどれぐらいかかるかですが、これは法務局によってまちまちです。
「管轄法務局の名前+完了予定日」でウェブ検索していただければ、法務局ごとの登記完了予定日が公表されているページを見ることができると思います。その中の、「不動産(権利)登記」のところが検索用情報の申出の完了予定日になります。
早い法務局だと1週間以内に上がるんですが、当地は件数が多いので、だいたい1ヶ月近くかかります。単独申出は、所有不動産が複数管轄にある場合、いずれかの不動産の所在地を管轄する法務局にまとめて申出をすることができます。なのでその場合は、完了が早い法務局を選んで申出するのもアリです。近いけれど遅いところか、遠いけれど早いところか悩ましくはありますが。
以上、今回は検索用情報の申出についてのお話でした。
住所や氏名が変わっているけど、登記はそのまま、という方は、この機会に申出を検討されても良いかと思います。
「やりたいけど、自分では面倒」という場合は、ぜひお近くの司法書士にご相談ください!


コメント