実印と印鑑登録証明書

実印と印鑑登録証明書

こんにちは、くろしば司法書士事務所です。
ついこの間まで、半袖で暑い暑いと言っていたのに、朝晩めっきり寒くなりました。
言ってる間に車のタイヤ、冬タイヤに履き替えないとな~、とか考えている今日このごろです。

さて、今日のお題は「実印と印鑑登録証明書」です。
実印…。
私達、司法書士の仕事ではよく実印の押印をお願いする場面があるのですが、普通の生活ではあまり使うことがないと思います。軽々しくポンポン押すものでもないですしねえ、実印。
昨今は「押印廃止!」の大合唱でハンコ自体使わないよ、という方もおられるかもしれませんが、この実印だけはそうそう無くならないのでは、と思っています。
(電子署名もありますけど、まだまだ少ないです)
なんでそう思うのか?を今日はお話したいと思います。

まず、「実印」とはなんぞや、から。
これ、市町村や法務局などの役所に、「印鑑登録」をしたハンコが実印です。なので、市町村に登録をする個人実印のほか、法務局に登録する会社実印もありますよね。
ちなみに実印の大きさですが、会社実印は「辺の長さが1センチを超え、3センチ以内の正方形の中に収まるもの」という規定がありますが、形には規定がありません。個人実印は市町村ごとに条例で決まっているようで、小さすぎるとか大きすぎるとかはダメ、となるようです。
とまあ、役所に登録されて実印となるわけですが、なんで登録しないといけないかというと、「これはこのヒトのハンコで間違いないですよ」という証明が必要だから、なんですね。
(ちなみに、正確には、押す物体そのものを「印章」、紙に押した跡を「印影」、役所に登録してある印影を「印鑑」というのですが、今回はわかりやすいのでまとめて「ハンコ」にしています)

というのも、そのへんの100円ショップで売っているような認印だと、同じハンコが誰でも買えるわけで、そのハンコが押してあるから、と言って本人が押したとは言い切れないわけです。
それに対し、実印なら役所が「このハンコは〇〇さんのものですよ」と証明してくれるので、実印が押してある書類は、本人さんが押した可能性がかなり高いと言えます。

ちなみに、民事訴訟法228条4項には「私文書は、本人又はその代理人の署名又は押印があるときは、真正に成立したものと推定する」という条文がありまして、この押印が実印の場合、まあ普通は「あなた自分で押したわよね」→「つまり、この文書(契約書等)はちゃんと成立しているのよね」と、裁判での証拠としてはとても強力なものとなります。
(もちろん「推定」ですので、それを覆す証拠があれば別ですが、覆すのはなかなかに大変)

そんなわけで、重要な契約書等についてはあとから「いや、あれは無効だ!」などと言われないように、実印を押して、これが実印ですよ、と証明するために印鑑登録証明書(面倒なので、以降「印鑑証明」)をつけるのが基本となるわけです。

ちなみにこの印鑑証明、取得するのも基本、本人のみですし、代理人が取得する場合でも印鑑登録証を必要としているのが普通だと思います。ですので、戸籍や住民票は職務上請求で取得できる私達司法書士も、印鑑証明だけは本人さんに取得していただきます。最近はマイナンバーカードがあればコンビニ交付もできるので、随分便利になりましたね。
このように、印鑑証明の取得のハードルを上げることで、より「本人である」ことの証明力が上がることにもつながっています。

で、そんな大切な実印と印鑑証明のセット、普通はそうそう出番がなくて、実印も「あれ?どこにしまったっけ?」となったり、印鑑証明取るのに、「印鑑登録証、どこいった~!」などの事態が起こるぐらい、忘れ去られた存在であるものだと思います。
(そうポンポン押すのも危ないので、忘れ去られるぐらい使わないほうがいいんですけどね)

ところが私達司法書士はこのセット、依頼者さんにお願いするのが日常となっています。
というのも、法務局での登記手続きでは「本人さんから依頼を受けて申請しているよ」とか、「会社の代表者から依頼を受けて申請しているよ」ということを証明するために、委任状や登記原因証明情報などに実印を押していただいて、印鑑証明をつけて申請するのが基本。
また、印鑑証明も発行から3ヶ月、などの縛りがあるのが普通で、それも「昔のを使いまわして、不正な申請をしてないよね?」という確認になっています。
それにより、登記の真正を担保しているわけです。

また、登記にも使われる遺産分割協議書も、実印を押印するのが基本ですよね。これも後から「いや、私こんなの同意してないから!」といったトラブルを防ぐ目的があります。(登記に使う場合は、実印の押印のある遺産分割協議書+印鑑証明がないと、登記は通りません…)

ですので、司法書士から実印の押印を求められたり、印鑑証明の取得をお願いされた場合は、ぜひ協力をお願いいたします。
ちなみに、不動産売買(いわゆる決済)の当日に、お客様の「実印忘れた!」の理由で決済が流れることはちょこちょこあります。そうなると相手方さんに多大な迷惑がかかりますし、スケジュールの組み直しも大変ですので、特に決済の日の実印、お忘れなきようにお気をつけくださいませ。

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