こんにちは、くろしば司法書士事務所です。
今日は遺言についてのお話第1回。
まずは、遺言の種類のお話をしたいと思います。
日本では遺言について、民法の960条から1027条に規定があります。
興味のある方はぜひ読んでみてください。
いまはインターネットで簡単に条文検索ができるので(e-GOV法令検索・民法)六法とか買わなくていいし、便利になりました。
士業の先生方でも、「もう六法買ってないよ」って方もいるようですが、私は半ば趣味で買ってます(笑)。六法も種類によって載ってる情報が違うので、できれば毎年、違うのを買いたい、と思っています。ただし、本棚を圧迫するのが悩みどころ…。
とまあ、六法の話はさておき。
遺言は大きく2つに分けると、「普通の方式」と「特別の方式」に分かれます。
「普通の方式」は、特に条件がなくてもだれでもできる遺言の方式。
これには、「自筆証書遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」の3種類があります。
これに対して「特別の方式」は、できるために条件があって、もう死にそう、とか、伝染病で隔離されてるの、とか、船の中にいるの、とか、船が遭難して死にそう、といった具合。まあ普通はあまり考えない状況だと思うので、「遺言どうしようかな~?」と考えておられる方は無視していただいてよいかと。だって、「伝染病隔離者の遺言がしたいから、ヤバイ伝染病にかかるぞ!」ってヒト、普通はいないですよね?
ということで、ここからは普通の方式のお話。
まずは「自筆証書遺言」から。
読んで字のごとく、「自分で書きなさいね」っていう遺言です。
本文はパソコンで打ってプリントアウト、はNG。
財産目録はプリントアウトとか、通帳のコピーとかでもOKですが、これもちょっと前までは全部自筆で書かないといけなかったので、多少は楽になりました。
で、自筆ならどんな書き方でも良いわけではなく、
「日付」と「氏名」を自書して、「押印」しないといけません。
ハンコは別に実印でなくてもいいですけど、実印のほうが証拠力は高いのでおすすめです。
(あとで、「この遺言はニセモノだ~!」といった紛争を防ぐため)
日付は「◯年◯月吉日」はアウト!いつかきっちりわかるように日を書いてください。
これで無効になること、結構多いらしいです。
自筆証書遺言は書いた方が亡くなったあと、家庭裁判所で「検認」という手続きが必要です。
これがちょっと面倒だったのですが、2020年から始まった「自筆証書遺言保管制度」を利用すると、検認手続を省くことができます。
ただし、「検認」も、「自筆証書遺言保管制度」も、遺言の中身が法律上有効か、などの判断をしてくれるものではありません。その点には注意が必要ですが、家で保管してて相続手続き全部終わったあとに遺言が出てきた!とか、そもそも見つけてもらえなかった、ということが防げるという意味では自筆証書遺言保管制度の意味はあるのかな、と思います。詳しく知りたい方は、法務省の法務省・自筆証書遺言保管制度のページをご覧ください。
こんなふうに、自筆だと本当に有効なのかな?となることもあるので、プロにちゃんと確認してもらったら安心だよね、というのが「公正証書遺言」です。
公証人さんと立会人2人の前で「これこれこういうふうに遺言します」って話して、公正証書にしてもらうやり方です。実際に司法書士がサポートする場合は、事前に遺言する方から意向を伺ったあと、公証人さんと事前にやりとりして文面を作っていただいて、当日は最終確認、という感じです。公証役場によっては、当日ふらっと行っていきなり作成、もできるところもあるとウワサでは聞くのですが、最近は少なくとも大阪近辺の公証役場はどこも混雑していて、事前予約しないと難しいと思います。
公正証書遺言のいいところは、検認手続はいらないし、中身も公証人さんっていうプロが見てくださるので、法律上無効、はまずないところ。それに、銀行や登記などの手続きも格段に楽になります。(最速、遺言者さんが亡くなって、住民票の除票なんかが出るようになればすぐ手続き可!)
また、公証役場で謄本(いわゆるコピーですね)を作ってもらえるので、自宅保管の自筆証書遺言のように、1通しかないので無くすと大変、なんてことがありません。
デメリットとしては、手数料が発生することと(プロに頼むんですからそこは当然ですよね)、遺言の中身が公証人さんや立会人さんに知られてしまうこと。まあ、立会人は、相続人や遺産を貰う人(受遺者)はなれないので、直接利害のあるヒトに知られてしまうわけではないです。また、司法書士の立場から言うと、相続争いを避けるためには、遺言の中身を家族に伝えておくことが大事なので、そもそも知られて困る遺言はあまりオススメできないなあ、というのが本音です。
だけど、どうしても知られたくない!という場合、「秘密証書遺言」という方法があります。
書き方的には自筆と違って本文はプリントアウトでもOK、ただし署名押印は必要。そのあと封筒に入れて遺言に押したハンコで封印して、公証役場に持っていって手続きするってやり方です。
だけどこれ、公証人さんに中身見てもらえるわけじゃないので無効のおそれがあるし、自分で保管しないといけないので、見つけてもらえないリスクは自筆と同じ。更に、検認も必要なので、もう全然メリットがないので、ほとんど使われていません。メリットは、本文を自書しなくていいことぐらい…。
というわけで、普通は「自筆証書遺言」か「公正証書遺言」で遺言をします。
どちらを選ぶか、また「遺言しない」かは本人さん次第です。
まあでも、そこそこ以上財産があって、銀行とか証券会社とか相続登記とか手続きがそれなりにあるのなら、公正証書遺言にする方をオススメします。
「死んだあとのことなんか知らん!残ったもので勝手に決めろ!」という場合はご遺族さんで遺産分割協議でもいいですが、これ、揉めないご遺族さんの場合でも、色々大変なんですよ。遺産のリストアップもあるし、ご遺族さんが住んでる場所が離れてるとハンコ1つ押してもらうのも手間がかかりますし…。せめて、遺言がなくても、財産目録ぐらいあれば楽だな~、というのが、かつて親が亡くなったとき相続手続きをした私の実感です。
まして揉める場合だと…。
そうなれば私達司法書士には手が出せないので、弁護士さん直行です。
とまあ、今回は遺言の種類についてのお話でした。
次回は、遺言の中身について、にしたいと思います。
※参考文献
新プリメール民法5 家族法 床谷文雄 他

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